腰を回さなければボールは飛びませんよね。
誰もが知っていることです。
でも誰もが腰の回し方によってはスウィングが安定しないということも知っています。
最近では、スウィング理論も確立されていて、色々な書物やプロゴルファーのレッスン等でその理論をアマチュアも学ぶことが出来るし、取り入れることもできます。
「パワーを生み出すポイントは、腰が上半身との間に作り出す捻じれとそこから生まれる反発力」と、どのゴルフ教科書にも書いてあります。
ですので、今時、肩と腰を回せば回すほどパワーは生み出せると考えるゴルフファーはビギナー以外はいないのではないでしょうか。
プロ初期のベン・ホーガンは、今時のアマチュアでさせ稀な、「肩と腰を回せば回すほどパワーは生み出せる」信仰に陥っていたと思われるふしがあります。
ベン・ホーガンは極端なフックグリップをしていたことで、スウィング自体がフラットになってしまい腰を大きく回して力で戻してくるということを繰り返していました。
確かにボールが真っ直ぐ飛んでくれるときはいいのですが、スウィングそのものの再現性はとても低いモノでした。
今時のレッスン書やテレビでレッスンを見ていると、クラブを体の正面に保つこと、つまり、スウィングが極端にフラットにならないようにアドバイスしています。
自然なスウィング・プレーンよりも遥かに下に両腕とクラブを落としてしまうと、インパクトでクラブフェースをスクエアに戻してくることが難しくなるとの理由からです。
プロでさえ、ショットが大きく荒れて長い間スランプに陥ることがあります。
特にフラットスウィンガーの場合、「バックスウィングで両腕を両肩の回転プレーンと同じに回転させてしまい、そのことでクラブを極端にインサイドにひくことになってしまう」ことによると考えられています。
つまり腰が余りにも回りすぎてしまうのが原因であるということです。
ゴルフ練習場でたまに見かけますが、バックスウィングで両腕を体に巻き付けるような恰好をしている人がいます。
もう少し縦にもっていくようにしたらいいのにと思うことがあります。
「ダウン・スウィングは、バック・スウィングの反作用として起こるものであり、両手や両腕を意識的に操作することはない。アップライト・スウィングでクラブを常に体の正面に保てば、いとも簡単にできるものだ。アップライト・スウィングはより自然で、練習もさほど必要とせず、簡単に繰り返すことができる。」
これは、グレッグ・ノーマンがかの有名なデビット・レッドベターからレッスンを受け始めて間もないころに受けた言葉です。
どうでしょうか、とても分かり易いと思いませんか?
レッスン書や、実際のレッスンでも「クラブは常に体の前」という表現が使われていますが、「腰が上半身との間に作り出す捻じれとそこから生まれる反発力」でダウン・スウィングが始まる、その時「両手・両腕を意識的に使うことなく」、ただ「クラブを体の正面に保って」いれば簡単にスウィングできると表現してもらえればビギナーはもっとよく理解できるのではないでしょうか。
さて、ベン・ホーガンはその後どうしたのでしょうか?
練習に練習を重ねた末、腰の回転を抑えることと、バック・スウィングでクラブを常に体の正面に保つことを学んだそうです。
また、『パワー・ゴルフ』で読者に右足を外側へ向けて立つようにアドバイスしてきたことが間違いであることにも気づきました。
私がそうだったので良く分かるのですが、右足を外側に向けて立つと、右腰の回転が大きくなってしまい、スウィングからパワーを失わせてしまうことになります。
体は回るのですが捻じれが甘く、反発力が弱まり力のないボールが飛んでいきます。
スウィングがフラットになる一因でもありました。